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Japanische Klassiker mit Furigana

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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

Lesen Sie 平の将門 (たいらのまさかど) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.193 Zeichen · 463 Bildschirme

Aozora Bunko

山中放浪

「怯んだぞ、敵は――」と、貞盛は、初めの優勢に、奮い出して、「この隙に、千曲を駈け渡ってしまえ。多寡のしれた将頼の手勢、恐れることはない」

と、自身、真っ先に、しぶきをあげて、浅瀬へ、駈け入った。

ところが。

そこから二町ほど上流を、一群の騎馬が、先に対岸へ渡ってゆくのが望まれたし、また下流の方からも、黒々と、一陣の兵馬がこっちへ襲せてくる。

「あっ。いけないっ。――将門だ」

貞盛は、そう叫ぶと、仰天のあまり、あやうく馬から河中へ落ちそうになった。

山中放浪

山岳地帯は、まだ雪融もしていないとみえ、千曲川の水は少なかった。渺として広い河原に、動脈静脈のような水流のうねりを見るだけである。

将門の手勢は、三ヵ所に分れていた。将門にとって、この日ほど、快味を感じたことはなかったろう。貞盛はもう網の中にはいった魚だ。あとは網をしぼって、手づかみに捕えるだけのものである。

しかし、貞盛とて、こうなれば、やみやみ坐して敵手にかかるほど怯者でもない。

「しまった」

一度は絶望的な叫びをもらしたが、たとえ敵の半数以下にしろ、四十人の郎従は連れている。これだけの者が死を決すれば――と思い直した。