Japanische Klassiker mit Furigana
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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Lesen Sie 平の将門 (たいらのまさかど) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.193 Zeichen · 463 Bildschirme
伏兵
さあ、今となっては、ちと遅い。行くと、返書もしてあるのに、その日になって、おれが姿を見せなかったら、臆病風にふかれたぞと、満座で笑いどよめくだろう。亡父良持の恥だ。おれは坂東平氏の総領だ。行かいでか」
桔梗はもう止めることばを失った。また、そういう凜乎たる良人の男性らしさにも惹かれた。恐いような魅力に恍惚となっている自分にはっと気がついた。そしてその魅力ある腕のなかに、その夜も、幸福な夜を、ついそのままに明かしてしまった。
伏兵
「行って来るぞ」
将門は、馬寄せから、鞍上の人となって、館を出て行った。馬の上から振り向いて、家人の中の新妻へ、明るい一言を残した。
小冠者二人に、郎党十人ばかりしか連れなかった。
承平五年の五月四日だった。
早朝の新緑の風が、爽やかであった。――豊田の町家を通って行く。里の老幼が、あわてて馬を避け、朝のあいさつを、ていねいにする。――将門は、
「町家の戸毎も、ひと頃よりは、よくなった。皆のふところ工合も、少しは富んできたかな?」と、ながめた。
大宝寺へは、豊田から下野街道を、毛野川に沿って行く。――と、どの辺から従って来たのか、うしろから甲冑を着こんだ一隊が見え隠れに将門の供みたいについて来た。