Japanische Klassiker mit Furigana
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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Lesen Sie 平の将門 (たいらのまさかど) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.193 Zeichen · 463 Bildschirme
小次郎は、やや不安になって、尼にたずねた。
「ああ。心配おしでない。そこの御門前まで、連れて行ってあげる」
尼は、初めに、約束したとおり、平然として、うなずいた。
けれど、田舎者の小次郎にも、同じ道を二度も歩いたり、いちど曲がった辻へまた出て来たりすれば、疑わずにいられなくなる。
尼は、よくしゃべった。「和子がこれから訪ねてゆく右大臣家は、小一条のお館だけれど、九条にも御別荘があるし、河原の石水亭も、お住居のひとつなんだよ。そのうちの、どこへ行くがいちばんいいか、私は、ひとに親切をかけるにも、親切を尽さないと、気のすまない性質だから、かえって、迷い迷い歩いてしまったのだよ」――そしてまた、いいつづけた。「和子よ。この辺で、ひと休みしよう。もう御門前も近いけれど、第一、おまえ、右大臣家をお訪ねするのに、そんな、さんばら髪をして行っては、笑われてしまう……」
ほんとに、親切な尼であると思い、小次郎は、彼女のいうなりに、腰をおろして、辺りに見とれた。なんという寺院か知らないが、山門があり堂閣がそばだち、五重の塔の腰をつつんだ一朶の桜が満地を落花の斑に染めている。