Japanische Klassiker mit Furigana
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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Lesen Sie 平の将門 (たいらのまさかど) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.193 Zeichen · 463 Bildschirme
身のみじめさを、鮮らかに、見廻すにつけ、最愛の妻子の、あわれな船住居を思うにつけ、彼は、心に、遺恨の弓を、ひきしぼって、満を持すような眉を示した。
「どうだ、おれの顔は。……もうすっかり腫れもひいたろう。滅法、粥もうまくなって来た。何を喰っても、餓鬼のように美味い」
――その朝は、わけて将門は、気分が快かった。穴住居には耐えなくなり、早暁に鳥の音の中を歩いて帰った。そして大勢の郎党たちと共に、雑穀や木の実をつき交ぜた異様な粥に、小鳥の肉など炙って、賑やかに、食べていた時である。
誰か、麓から、駈け上ってくる。本能的に、みな立った。しかし、味方の物見の者とわかったので、すぐにまた、腰をすえかけると、近づいて来た味方のその物見たちが、口々に、たいへんだっ――といきなり喚いた。その声にも、表情にも、たしかに、一同を愕然とさせる――ただならぬもの――があった。
「北の方の船が襲われた」
「敵に知られて、桔梗さまや、和子様まで」
舌がひッつれて、多くを、正しく、いえないのである。口々の声はみな、報告というよりは、ここへ来て、とたんに、息ぎれと一しょに吐いた絶叫であった。