Japanische Klassiker mit Furigana
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ふくおうじでん
福翁自伝
福沢 諭吉
Lesen Sie 福翁自伝 (ふくおうじでん) von 福沢 諭吉 (ふくざわゆきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.912 Zeichen · 402 Bildschirme
を明けた所が、果して然り、東京の諸屋敷地を払下げると云う風聞が段々世間に知れ渡たその時に、島原藩士何某が私方に遣て来て、当屋敷は由緒ある拝領屋敷なるゆえ、主人島原藩主より御払下を願う、此方へ御譲渡し下されいと捩込んで来たから、私は一切知らず、この地所のむかしが誰のものでありしや夫れさえ心得て居ない、兎に角に私は東京府から御払の地所を買請けたまでの事なれば、府の命に服従するのみ、何か思召もあらば府庁へ御談じ然るべしと刎付ける。スルと先方も中々渋とい。再三再四遣て来て、とう/\仕舞には屋敷を半折して半分ずつ持とうと云うから、是れも不承知。地所の事は島原藩と福澤と直談すべき性質のものでないから御返答は致さぬ、一切万事君夫れ之を東京府に聞けと云う調子に構えて居て、六かしい談判も立消になったのは難有い。今日になって見れば、東京中を尋ね廻ても慶應義塾の地所と甲乙を争う屋敷は一箇所もない。正味一万四千坪、土地は高燥にして平面、海に面して前に遮るものなし、空気清く眺望佳なり、義塾唯一の資産にして、今これを売ろうとしたらば、むかし御払下の原価五百何十円は、百倍でない千倍になりましょう。