Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
「庵室の主人にもの申す、しばらく縁先をお借り申すぞ」三十年輩の侍がまず慇懃に声を掛けた。しかし三太夫は返辞をしない。依然として鼾をかいている。
「我ら鷹狩りに出でましたるところ鷹を逃がして見つけ廻わるうち、一行の者と駆け距たり、そのうち時雨に降り込められ、難渋を致して参ってござる。縁先を拝借いたし申す」二十八、九の侍がもう一度慇懃に声をかけた。しかし返辞をしようともしない。鼾の声ばかりがただ高い。
「主人は熟睡と見え申す。再応案内を乞うたる上は、許しがなくとも縁の先ぐらい、拝借してもよろしかろう。いざいざお掛け遊ばしませ」
三十年輩の侍は、中で一番年の若い、打ち見たところ二十一、二の、気品の高い侍へ、こう云って恭しく縁を払った。
「咎められたら咎められた時、謹んで謝罪申そうまで。それでは縁を借りるとしよう」
気品の高い若殿は悠然と縁へ腰をかけた。時雨は益※(二の字点、1-2-22)降りしきり、追々本雨になるらしい。三人は眉をひそめながら、雨空をじっと見上げていた。
と、若殿は身をねじ向け庵室の中を見廻わしたが、
「なんと心憎い住居ではないか。丈左衛門、そちはどう思うな?」