Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
の巻物とを、母は給わって邸を出され、もし産まれた子が男子ならば、すぐに名のって出るがよし、姫であったらそのまま育て、自分の娘にするがよいと、有難い仰せに涙を流し生まれ故郷の諏訪へ帰り、産み落したのがこの私、それとも知らず養育され、十歳の年になった時、重い病いに母は伏して、帰らぬ旅に行き給うたが、その時明かされた身の秘密、そして我が手に渡されたは菊一文字の短刀と陰陽秘伝の一巻の書……それからこの身の変わりようは今思うても目覚しい。父がそういう立派のお方で、陰陽師の司とあるからは、娘と産まれたこの私もどうぞその方で偉くなり、機会を見つけて父と逢い、名のり合おうと意を決し、大勇猛心を振り興こし、幸い手もとに残っている陰陽秘伝一巻を、朝昼夜に読み耽けり、人の一念岩をも通す、十二の春に意味を訓り、十四の秋に祈祷を覚え、十五の夏に蘊奥を極め、今年十九の四年間を諸国を巡って暮らしたが、再び故郷の諏訪へかえり、明神の孕石を囮として、我より優れた陰陽師に、巡り逢いたしと願ううち、計らず昨夜逢ったのは思いもよらない若侍。しかもその人にすすめられて、木曽福島へ従い行き、その人の父上に当られる花村甚五衛門とかいう人の、客分としてその人の館に住むようになろうとは、ほんとにほんとに何んという思い設けぬ運命であろう」