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Japanische Klassiker mit Furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme

Aozora Bunko

奇怪至極と思う中に、館の襖ハタハタと仆れ、遥かに見える戸外の態!

見よや、一座の山の上に、火焔を浴びた城一つ、落城と見えて女子供の泣き叫ぶ声の物凄く、その間も吹きつのる小夜嵐。寄せ手の軍勢は固唾を呑み、憐れ憐れと見ている時、城の大手の門を開けて駈け出したる武者一騎、鍬形打った冑をつけ、紫裾濃の鎧を着て、大身の槍を打ち振り打ち振り、大軍の中に駈け入ったが、四角八面に突いて廻わり、身に受けし傷に流れる血。一方の血路を開くと見るや否や、小丘にサッと駈け上がり、馬より下りて鎧を脱ぎ冑を取れば黒髪長く、二八あまりの美少年。城を遥かに伏し拝み、そのまま腹を掻っ裂ばき、草に屍骸を埋ずめると見るや、今まで見えていた城も焔も、目に余る寄せ手の大軍も、きらびやかなりし館さえ、また座に在った美しい前髪立ちの主人さえ、悉く消えて見えなくなり、草茫々たる山の原ばかりが、暁の光の中にあった。いかに一同は驚いたか! しかし驚きを二倍にして、老人の声が聞こえて来た。

「常陸も五右衛門も、山尾殿の忍術の業も、陰陽道もまだまだ愚老には及ばぬそうな! 修行をなされ修行をなされ!」こう云いながら遥か彼方に、立っていたのは百地三太夫であった。