Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
「それに病人を療すと云っても、薬一服盛るのでもなし、荒神の護符を飲ませるのでもない。お侍衆に守られながらあの逞しい裸一貫で、ズカズカと病家へやって来て、病人の枕もとへ突っ立ったまま病人の様子を眺めている。それからノコノコと病人の寝床へ裸のままでおはいりになる。すると病人が悲鳴を上げて『許せ許せはだか武兵衛!』と、さも苦しそうに叫んだかと思うとそのままコロリと熱が落ちて病人はにわかに本復する……魔術と云おうか奇術と云おうか、はだか武兵衛様のあのお手練は人間業とは思われぬ」
「ところで女子の病人と見るとさすがに寝床へはいろうとはせず、その枕もとへピタリと坐って、あり合う茶碗へ清水を汲んで、それを互いに飲み合っただけで熱病が癒るというではないか」
「仮りに姿を人間に変えた神様などであろうかい」
「神様と云えば武兵衛様は駒場の森の津島神社の拝殿に寝ていたと申すことじゃ」
「それではいよいよ津島神社のお遣使かもしれないぞ」
「何はともあれああいうお方が中津川のお城下へ出たというものは、やはり花村甚五衛門様が勇士をお愛しなさるからじゃ。いずれ病気を癒した後も、浪人組の一人としてお城にお止どまりなさるであろう」