Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
黙れ、売僧
言葉の意味が察せられたのであろう。と、彼は静かに椅子から離れ背延びするように立ち上がった。灯火に射られて胸に垂らした金剛石が燦々と猩々緋の光を放射する。それにも劣らず輝くのは、饑えた鷲のように物凄い瞽いていない一眼である。彼は全く椅子から離れ太刀の柄へ手を掛けた。
やがてスラリと太刀を抜くや、がばとばかりに床を刺し、厳寒の水を想わせるような速く冷たい言葉付きで、
「仔細を語れ! 聞いて遣わそうぞ!」
嘲るがように云い放した。
オースチン師は一揖した。彼は少しも恐れてはいない。彼の恐れるのは不義ばかりだ、金には淫せず武威にも屈せず真箇大丈夫の英雄僧には、こうした威嚇は無用である。
彼は破顔一笑した。白髪童顔神々しい彼は、笑って益※(二の字点、1-2-22)尊く見える。
「いずれは申さねばならぬ事じゃに、只今お話し致しましょうぞ。殿の姫君芳江どのと、神保帯刀殿ご子息の市之丞殿とはここ久しく、ご相愛の仲でござりますぞ。してその介添えはこの老人、オースチン儀にござります!」
「おおよく申した。さすがは汝。悪僧ながらも度胸太い。……既に明白に申したからは、罪の成敗承知であろうの?」