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Japanische Klassiker mit Furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme

Aozora Bunko

紋十郎は走り寄り妹をひしと抱えた。

「妹、妹苦しいか?」

「苦しゅうござんす! 苦しゅうござんす! たといどのように苦しくともこの苦しさはただ一時、後に残った兄さんが、謀反の企てすぐにも解って部落中の人に恥ずかしめられ、山藤の蔓の高手小手、大木の幹につながれて、十人の射手の矢先にかかり嬲り殺しにされる時の、その苦しさに比べたら、軽い軽い苦しみでござんす。――兄さん!」

と腹へ突っ込んだ大鎌の柄を片手で握り、もう一つの手で兄に縋り、

「兄さん、兄様、ただ一言謀反やめると云うてくださらぬか! このまま死んでは妄執残り、臨終の妄執は五百生、生き代わり死に代わり未来永劫浮かぶせないと申します。応と一言云うてくだされたらそれが何よりの手向けでござんす。否か応かただ一言、どうぞ頼みます、云うてくだされ!」

暴風雨の中の呻き声

致死期の苦しい息の下からこう妹に掻き口説かれても紋十郎は応とも云わず、さりとて否とも云い兼ねてただいつまでも黙っていた。

「返辞のないのは否の証拠。そうまで決心した謀反なら、行くところまで行って見て思いをお晴らしなさりませ――それにつけても心残りは、たった一人右衛門さん……」