Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
島君は夢中で力をこめて傴僂の丑松の肩を掴んでグングン峠の方へ押すのであった。
「ま、待ってくれ。これどうするのじゃ。肩がめり込むわ、めり込むわ」
丑松は周章てて押し戻す。それをグイグイ尚押しながら、
「右衛門さんが殺されるのじゃ! 右衛門さんが殺されるのじゃ!」
「これ馬鹿のことを云うものでねえ。あの人のよい右衛門が誰に怨まれて何んで殺される」
「紋十郎めに怨まれてその紋十郎に殺されるのじゃ!」
「そうか、なるほど、ありそうなことじゃ。そうしてそれはいつ殺されるのじゃ?」
「硫黄ヶ滝で……今夜、今!」島君は太息を吐きながら、「こうしている間も気にかかる! おおどうしようどうしよう!」島君は無残に身を揉んだ。それに連れて丑松は周章て出した。
「これはこうしてはいられねえ! 俺と右衛門とは仲よしだ。あの男は俺を馬鹿にしねえ。だから俺はあいつが好きじゃ。その右衛門が殺される! や、こうしてはいられねえ。硫黄ヶ滝まで行かずばなるまい。これ島君よ、泣いていては駄目じゃ! かなわぬまでも駈け付けるのじゃ」
「もう妾は歩けない! もう妾は一足も出ぬ! それにお前は傴僂で片輪! 硫黄ヶ滝まではまだ遠い!」