Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
それはやっぱり人間であった。その三人の人間は、女の顔に拵えた巨大な張りボテの冠り物を、めいめい頭から取りのけながら、声を忍んで笑い出した。
「女ども恐れて逃げおったわ。妖怪と思うて逃げたのであろう。そこがこっちの附け目なのじゃ。女どもを嚇して逃がして置いて、それから悠々と城内の様子を、探ろうというのが魂胆なのさ」
「それにしても城内の無用心のことは! 女子供ばかり住んでいる大奥のしかも奥殿まえで、御嶽冠者の手下の吾ら――山賊の吾らが忍び込んでも、捕らえようとする者さえない! 木曽家の武運も衰えたと見える」
「木曽家には名代の智恵者として花村甚五衛門という武士もあるが、評判ばかりでその実は役に立たない武士と見える」
「もし役に立つ武士なら、山賊の手下の吾々が、このように大奥へ通るのを見遁がしておく訳はない」
「いよいよ木曽家の運命もこれで定まったというものかな」
「アッハッハ」と異様の武士は、三人ながら哄笑した。
裏庭をへだてた離れ座敷では、今宵も酒宴があると見えて、楽器の音色や笑い声や女達の囃す仇めいた声が、狸囃子のそれのように怪しくも凄じく聞こえて来た。