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Japanische Klassiker mit Furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme

Aozora Bunko

と老師は怪しみながらツカツカと牢の戸口まで行き素早く牢内を覗いて見た。数馬も老師の肩越しに土牢の内を覗いて見たが牢内には人の影さえもない。

「ご老師市之丞殿はおりませぬな?」

「これは不思議じゃ」

とオースチン老師は黙然と牢口に彳んだが、小脇に抱えていた幻灯機械をやおら牢内へ差し向けるとパッと光を奔出しらせた。

牢内にはやはり市之丞はいない。ばかりか紅斑々生血が諸所にしたたっている。

「しまった!」

と老師は思わず叫び数馬の顔を振り返った。

「お気の毒にも市之丞殿は、毒刃に掛かられたと見えまするなあ」

悄然として数馬も首垂れる。殺されたのに疑いなさそうである。生血が未だ乾かないのを見ると殺人の兇行の行われたのはほんの最近に相違ない。

一足の違い、一瞬間の違い、そのわずかの違いのためにどうやら市之丞は殺されたらしい。

オースチン老師と数馬とはただ憮然として立ち縮み、どうすることも出来なかった。

牢番の娘

さて、神保市之丞は、この無惨な土牢の中で鬼王丸の指図の下に兇刃の犠牲になったのであろうか? 真実彼は殺されたのであろうか? それとも何者かに助け出されたのであろうか……それはどっちとも解らない。