Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
「老師様、老師様、お願いでござります。妾は泣きは致しませぬ。どうぞお聞かせくださいまし! 市之丞様はどうなされました? 土牢にいるのでござりますか! おお思っても気味の悪い土の中に造られた牢屋! 土牢にいるのでございましたらすぐにこれから三人で参ってお助け致さねばなりませぬ。さ、急いで参りましょう! さ、急いで参りましょう!」
泣かぬと口では云いながら眼に一杯涙を溜めて芳江姫は叫ぶのであった。
二人はしかしそう云われても何んとも返辞が出来なかった。さ、急いで参りましょうと、芳江姫に急き立てられても歩き出そうともしなかった。
「ご老師様!」と衣の裾を芳江姫はひしと掴んだが、「おおそれでは市之丞様は土牢にはいないのでございますね。……それでは、それでは、市之丞様は、あの業悪の鬼王丸のために……いやいやそれではあんまり酷い! なんでそんな事があるものか! どうぞお願いでございます! 市之丞様のお身の上を早く明かせてくださいまし!」
掴んだ裾をグイグイと引いて芳江姫は狂乱の態でオースチン老師に訊ねるのであった。
「芳江姫!」
と悲痛の声で初めて老師は声を掛けたが、眼からは二筋涙の紐が頬の上を流れている。