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Japanische Klassiker mit Furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme

Aozora Bunko

「それは本当でございますか!」

思わず粂太郎は胸を躍らせ、グイと膝をいざり寄せ、

「仮りでなくて本当に、もしも私が恋い焦れたら」

云いながらお銀の手を取った。

お銀はその手を払おうともせず、

「はい、嬉しゅう存じます」

「おお嬉しいとおっしゃるか?」取ったその手を握りしめる。

「妾はずっと以前から焦れていたのでござります」

「それでは私と同じ事、一眼お前様を見た時から、あの恋しく思いまして、主人の金を持ちながら、ついうかうかと逗留し、……」

「…………」

「隙があったら心を打ち明け」

「連れて逃げてくださるよう願っていたのでござります」

「そうとは知らず一人心で、クヨクヨ思っていたことも、今では思い出となりました。もしお銀様!」

と屹と云う。

「はい」

と云って顔を上げる。

「たとえ私が泥棒でも……」

「ええ?」

「もうこう心を明かし合ったからは……」

「なんで妾が嫌いましょう」

「おお有難い有難い!」

「もしまた妾が傾城上がり……」

「ええ」

「阿婆擦れ女であろうとも……」

「いいや決して捨てはしない!」

とたんに廊下で足音がした。

駅路の夜は森然と更けた。

助左衛門家の裏木戸がこの時音もなく内から開き、二人の男女が現われた。