Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
深夜であり殊に降雪、お引き返しなされ、お引き返しなされ」
それは鳶の鳥市であった。おりからドッと背後の方から鬨の声が聞こえて来た。振り返って見ると鎌髭の権が手兵を率いて控えている。
「おい左陣さん、計られたね」
傾城小銀は口惜しさに「前後を断ち切られてはもう遁がれる手段はない。覚悟をせずばなるまいね」
「うん、どうも仕方がねえ。残念ながら斬り死にだ。死人の山を築いてくれる」
一旦納めた太刀を抜くと、再び真っ向に振り冠り、前面の敵へ馳せ向かった。するとまたもや松火の光一時にバタバタと消えたかと思うと、雪を踏む音サクサクと聞こえ、やがてそれも遠ざかり消えると敵勢の影も共に消え全山寂と音もなく、二人ばかりが取り残された。
「何んだえこれは」と人丸左陣は拍子抜けがして呟いた。「まるで狐に化かされたようなものだ」
「ほんとにふざけているじゃないか」
「何はともあれ命は安泰だ。どれ前途を急ごうぜ」
二人は勇気を恢復し、足を早めて先へ進んだ。どこまで行っても山がある。森を送り林を迎え、谷を渡り峰を越し一刻あまりも走りつづけた。走ることには慣れている。少しの疲労も感じない。