Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
「大した尤物でございます」
「それもやはり婢女かな?」
「ハイ、姿は婢女ながら、素姓は素晴らしく高貴の姫じゃと専ら取り沙汰にございます」
「高貴の姫? いったい何んだな?」
「噂によりますと京師の公卿、大納言冷泉為相卿のご息女とか申すことで、右京次郎と申す男の許婚の由にございます」
「ナニ、冷泉卿の姫君とな。……ふうむこいつは驚いたな。……飛鳥井家の御曹司に冷泉家の姫か、嘘にしても大したもの、もし本当なら捨てては置けない。ともかくも城内へ請じ入れるよう」
「かしこまりましてございます」
取次の者は座を辷った。
程経て以前の取り次の武士布川小一郎が現われたが、
「仰せに従い彼の一群を城内へ入れましてございます」
「右京次郎とやらに会って見たい。叮嚀に書院へ通すよう」
「かしこまりましてございます」
――しばらく経って常氏は近習数人を後に従え悠然と書院へ歩を運んだが、怖めず臆くせず設けの座に端然と坐っていた右京次郎を見ると「ははあこれは本物だな」と、さすがにすぐに直覚した。
「当城の主佐野常氏、お見知り置かれくださるよう」相手が名門の出なので、こう慇懃に会釈した。
「拙者事は右京次郎、公卿あがりの浪人者、お見知り置かれくださるよう」