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Japanische Klassiker mit Furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme

Aozora Bunko

しかしまた壮麗のその光景が、何んと速かに消え去った事か。

最初に彼女の見た光景は、それは次のような光景であった……。

……そこは日本の国ではない。山々は緑に茂ってはいるがその木も日本の木ではない。木々に混って黄金色の、果物がゆさゆさ実っているが、これとて日本の果物ではない。林から林、丘から丘と孔雀や白鳩が飛び廻わってはいるがそれを捕らえようとする人もない。

丹塗りの家や白堊の家や、鐘楼めいた大きな塔が、あるいは林にまたは丘にすくすくとして立っている。

海が朝陽を浴びながら、巨大な会堂の真下まで白泡を立てて波打っている。遥かの沖には赤い矢帆が数限りなく立ち並び、その帆は風を孕んでいる。と見ると会堂のすぐ側に山のような金網が張ってあって、その中には幾匹かの獅子と虎が、のんびりと尾を振って歩いている。

太陽は黄金の会堂の屋根に洪水のように光を投げ、列を作って参詣する男女の市民の顔や肩へも、同じように光を浴びせている。

いつの間にか鳰鳥はその会堂の、祭壇の前に立っていた。

その祭壇の神々しさ! 遥かの奥の厨子の内には十字架に掛かった基督の像と嬰児を抱いたマリアの像が燻ゆる香煙を纏いながら幻影のように立っている。