Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme

Aozora Bunko

細工師の娘

心中こんなことを思いながら彼は宛もなく彷徨って行った。

「忠臣義士は悉く遠退き、残ったは阿諛の佞臣ばかり、金銭財宝もおおかた尽き、ろくに兵備とてなさそうである。しかし四方の国境には敵兵充ち充ち雲霞の如しとは、笑止千万と云わなければならない。……噂によれば木曽殿の妾に鳰鳥とかいう女あって、表や大奥もその魔手のために掻き乱されるということであるが、是非とも直々会って見たいものだ。義仲以来由縁ある名家が、そんな名もない悪女のために滅亡するはいかにも残念、場合によっては木曽家のため、その女を討って取り、国土を安泰に置かなければならない」

その時、苑内林の奥から女の悲鳴が聞こえて来た。

「ははあ踊りの騒ぎにまぎれ、何者か女子を苦しめているな」

こう苦々しく思いながら彼はそっちへ走って行った。はたして二、三人の人影が林の中でもつれ合っていた。

「これ何をする! 狼藉者!」

春房は鋭く一喝した。それに驚いたか人影は、急にバラバラと四方へ散り、後に残ったのは女ばかり、これも踊り子の一人と見えて、上流の姫君の扮い姿、長い垂れ髪の乱れているのは、格闘をした証拠であろう。

「これ女子、怪我はなかったかな?」