Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
「なるほど申せばその通りじゃ。酒を飲む器と人間の命、比べものにはならぬわい。自害してまでも見たいというそちの執心には我が折れた。滅多に出されぬ器じゃが、今日は宝蔵から取り出そうぞ。これこれ左近吾宝蔵へ参って彼の髑髏盃を取り出して参れ」
「は」と答えて若侍はスルスルと座から辷り出た。
その時襖がサラリと開いて、甚五衛門が現れた。「これこれ左近吾しばらく待て」鋭い眼で睨みながら、「いかにご主君の仰せでもお家にとっての一大事には、容易く従うものではない! 次の間へ下がって控えておれ!」甚五衛門は怒鳴りつけた。
「何を申すぞ甚五衛門!」
癇癖の青筋を額へ現わし義明は鋭く云い放った。
それにはかまわず甚五衛門は鳰鳥の方へ身を向けた。
「鳰鳥殿には何者より、お館の宝蔵に髑髏盃が、蔵いある事をお聞きなされたかな?」
「腰元どもの問わず語りに……」
「いやいやそれは偽りでござる」
「妾が偽りを申すというか?」
「いかにもさようでござります。その訳はいかにと申しますに、腰元どもはさようの事を決して存じてはおりませぬ。腰元どもは云うまでもなく、我ら二、三の老臣以外に知っておるものはござりませぬ。