Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
……まさか老人の山津主が……」
「そんなお方でもございません」
姫は考えに沈んだが、
「それはそうとあなたに対して、いったいどんなよくないことを、その男はしたのでございますの?」
「あの妾を失礼にも、寝部屋へ連れ込んだのでございます。……あなたのおいでが遅かったら妾の体はその人のために……」
「おお寝部屋とおっしゃいますと……それではさっきのあの寝部屋へ?」
「はいそうでございます」
「その寝部屋にはお父様と……」
「はい、あなたのお父様と……」
「近習のものがいたばかり……」
「その近習の人達は、笑って立って見ておりました」
姫の顔色は紅をさした。
「それではもしやお父様が?」
「それゆえ妾は申し上げにくいと、申し上げているのでございますよ」
姫の眼へは涙が溜った。それはいじらしい光景であった。
鳰鳥は気の毒でならなかった。で、黙って見詰めていた。
と、姫は立ち上がり、つかつか部屋の外へ出ようとした。
「どちらへおいででございますか?」
「はい」と姫は振り返ったが、「父を叱りに参ります」そういう声には自信があった。「父は妾を愛しております。そうして少し煙ったがっております。