Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
実は私にもちょうどそういう仮死の状態によく墜ちる娘が一人ございました。一、二年前に家出をしていまだに行方は知れませぬが、ただ今のあなたのお話でついその事を思い出し顔色を変えたのでございます」
「ほほう、さようでござったか」右門は意外に驚いたらしく「仮死の状態というような不思議な病気を持っている者が他にあろうとは夢にも思わず、失礼なお尋ねを致しましたが、平にご容赦願うとして、そのお娘ごは何んの理由で家出などなされたのでございますな?」
「それには訳がございます」婦は皮肉の笑を洩らし、「黙って家は出たものの、思うに恐らく父の讐敵を討ち取るためでございましょう!」
「ええ」と右門は眼を見開らき、「してまた眼差す讐敵とは?」
「木曽の大領、義明朝臣!」
「何んと申す!」と右門は云った。「吾らが主君義明公を敵と狙うそこもとらはそもそもいかなる身分の者ぞ」
「木曽の大領義明に打ち滅ぼされた西班牙の司僧マドリド教主の遺児の千曲姫と申す者こそ、仮に妾の娘となり、この篠井に住みましたなれど、今は行方を眩らまして、窃かに敵を狙っている筈。そういう妾もその昔はマドリド司僧にお仕え申した雉六の妻お霜という者、互いに素姓の解かった上は、お世話も出来ずされもしますまい。