Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
四方はきわめて静かである。
その時、形ばかりの枝折戸が、外から開いてその隙からスルリと庭先へはいって来たのは、昨日から影のようにお霜の家に付きまとっていた傀儡師、体に隙のない男であった。
傀儡師はツカツカと進み寄り、縁にドカリと腰を据え、頭巾をパラリと取り脱した。
「右門殿、過日は失礼致した。今日はお詫びに参ってござる」
意外にも傀儡師は武士であった。大日武者之助その人であった。
右門は見返りもしなかった。お霜も言葉をかけなかった。
武者之助はカラカラと笑ったが、
「これはこれはお二人とも無言の行と見えまするな。拙者も行は大好物、どれどれお仲間にはいろうか」彼は構わず座敷へ上がり二人の傍へ胡坐を組んだ。
こうして三人、無言のまま、いつまでもいつまでも坐っていた。
夕暮れになると空の雲雀は、今日の逝くのを惜しむかのように、ますます高く囀り続け、野良から帰る農夫達の、長閑に唄うのも聞こえて来る。
二、三度武者之助の手下らしい人相の悪い男達が、垣の外から家の中を、審かしそうに窺ったが武者之助の合図がないからか、そのつどコソコソと隠れ去った。
家の中では三人が尚も無言をつづけている。