Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme
四
「下駄の跡は一人でしたか」
「庭の中にはかなり足跡もありましたが、みんな同じ歯の跡で、木戸から入って出たのは一人分だけでしたよ」
ガラッ八も途方にくれました。十坪ばかりの狭い庭には、亭主の殺風景な性格を反映して、石一つ、植木一本ない有様、わずかに戸袋の側の手洗鉢の下に、南天が一株ありますが、それといっても、人間が潜りもどうも出来るほどのものではなく、狭い場所一パイに建てた家で、たった一つの庭木戸の外には、往来へ出る道も、表へ廻る路地もありません。
「木戸の向うは川岸っ縁の往来ですね」
「そうですよ、あの雪で昨夜は人通りも少なかったようですが、それでも宵のうちですから、チラホラ、通らないことはありません」
と佐吉。
「この辺に、お前さんを怨んでいる者はありませんか」
「ありますよ、どうせ良く言われっこのない性分で、町内の人が皆んな敵みたいなものでさア――」
少し言い草は乱暴ですが八五郎の半間な調子に業を煮やした故もあったでしょう。佐吉は忌々しそうに舌打ちをしました。
四
「雇人は?」
「二人いますよ。一人は越後者で、お駒という下女、一人は房州者で、これは借金の取立てや使い走りをさせておりますが、与次郎という男。