Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme
五
年はもう六十恰好、お酒を頂くと、疳性で、素裸でなければ眠られないという厄介な親爺、これも遠縁の飼い殺しで、こんな時役に立つような人間ではありません。
それから手分けをして、家の中をすっかり探しましたが、富太郎は影も形もありません。暁方近くなると、出入りの鳶の者や、近所の百姓衆も来てくれましたが、床板を剥ぐように探しても富太郎が見えないのですから、これは神隠しに逢ったとでも思うより外には考えようもなかったのです。
一同がっかりして、元の部屋――仏壇の扉も、二つの床もそのままにしてある仏間へ引返しました。
「あッ、お坊っちゃまが――」
お染が一番先に、元の床の中に、楽々と寝かされている富太郎に気が付いたのです。
「どれどれ」
雪崩れ込んだ五六人、誰ともなく富太郎を抱き上げましたが、
「あッ、死んでいる」
驚いて床の上へ落してしまいました。可哀相に富太郎は、この時もう冷たくなっていたのです。
五
「右の通りだ、親分、こいつはあっしの手におえねえ、根岸まで行って見ておくんなさい」
雨戸を開けると、翌る日の朝日と一緒に飛込んで来たガラッ八、飯を食う暇もなく一夜の恐ろしい冒険を報告しました。