Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme
二
二
平次が徳蔵稲荷へ行ってみると、果して思いもよらぬ大事件が待ち構えておりました。
神様にも流行廃りで、今は跡形もありませんが、その頃大変流行った徳蔵稲荷の門前は、何があったのか、朝から黒山の人だかりです。ハッと思うと早足になって、人混みを分けるともなく顔を出すと、
「あッ、銭形の親分、ちょうどいいところで」
町の口利きらしいのが、顔見知りと見えて、袖を引かぬばかりに案内してくれます。
「どうなすったんです、これは?」
「大変な間違いがありましたよ、あれを見てやって下さい」
指したのは、ささやかな玉垣の下。
「あッ、これはひどい」
銭形の平次も思わず声を立てました。
人の死体や、残酷な場面は、嫌いだといっても随分たくさん見て来た平次ですが、まだ、こんな変ったのは見たこともありません。
真新しい紅白の鈴の緒で縛り上げられた中年者の男が、二た突き三突き、匕首で刺されて、見るも無慙な死にようをしているのです。
「銭形の親分、この通りだ。これは堂守の仁三郎といって、町内の人気者だ。人に怨みを買う性の人間じゃない、金を溜めるような心掛けの男でもねえ、それがこんな虐たらしい有様になって、朝詣りの人に見付かったんだ。