Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme
銭形平次捕物控
一
一
昼頃から降り続いた雪が、宵には小やみになりましたが、それでも三寸あまり積って、今戸の往来もハタと絶えてしまいました。
越後屋佐吉は、女房のお市と差し向いで、長火鉢に顔をほてらせながら、二三本あけましたが、寒さのせいか一向発しません。
「銭湯へ行くのはおっくうだし、按摩を取らせたいにも、こんな時は意地が悪く笛も聞えないね」
「お前さん、そんな事を言ったって無理だよ、この雪だもの、目の不自由な者なんか、歩かれはしない」
そんな事を言いながら、ちょうど三本目の雫を切った時でした。ツイ鼻の先の雨戸をトン、トン、トンと軽く叩く者があったのです。
「おや――」
お市は膝を立て直しました。宵とはいってもこの大雪に、往来の方へ向いた、入口の格子を叩くならまだしも、川岸へ廻って、庭の木戸から縁側の雨戸を叩く者があるとすると、全く唯事ではありません。
「どうしたんだい」
と、佐吉。
「雨戸を叩く者があるんだよ。こんな晩にいやだねえ、本当に」
「開けてみな、貉や狸なら、早速煮て食おうじゃないか。酒はまだあるが、肴ときた日には、ろくな沢庵もねえ」
佐吉は少し酔っているせいもあったでしょう。