Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme
五
「どうした利助」
新三郎も思わず縁側から降り立ちました。蝋燭の灯を中心に、女の頭の上に顔を集めると、濃い黒髪の地に、藍色に描かれたのは、紛れもない一匹の鼠の文身。
「お、お」
驚く新三郎の顔へ正面に、
「馬鹿にしちゃいけねえ、十二支組のお珊姐御だ、臭い息なんか掛けると罰が当るよ」
桃色の啖呵が、月下へ虹のごとく懸ります。
五
その晩、銭形の平次が八丁堀へ駆け付けた時は、笹野新三郎の役宅は上を下への大騒動でした。
十二支組の女首領で、頭の地へ鼠の文身をしているお珊が誰の手を借りたか、見事に縄を切って逃げ出してしまったのです。
「平次、遅かった。大変な事になったぞ」
と笹野新三郎。さすがに役目の手前、奉行所へ送らずに自分の役宅から逃げられたでは申し訳が立ちません。
「旦那、あの女が十二支組のお珊とわかれば、かえって筋が判然して来ました。御心配には及びません」
平次は大して驚いた様子もなく、いつもの平静な調子で、お珊が脱けたという縄の切目などを見ております。
「お前は何もかも判っているようだが、少し話してみてはくれまいか」
「ヘエ――、何にも判っているわけじゃございませんが、これだけは確かでございます、十二支組の残党で、生き残っているのが、鼠の文身をしているお珊と、蛇の文身をしている巳之吉と、猪の文身をしている亥太郎と三人