Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

五

勝手にするがいい、馬鹿馬鹿しい」

お由は気が立っているらしく、こう言ってプイと座を立ちました。

「見ましょうか、親分」

立ちかかる八五郎。

「無駄だろう、今朝抜かれてしまったよ、――赤鰯丸なんか持って行っても仕様があるまい、――十両の金さえ返しゃ気が済む、さア帰ろうか、八」

平次はもう何の未練気もなく立ち上がるのでした。

五

その日半日、平次はどこともなく飛んで行ってしまいました。ガラッ八は吉三郎の家を宵まで見張りましたが、町内の百万遍の講中が来たのと、お通夜の小坊主が、お義理だけの経をあげた外には、何の変りもありません。

フラリと平次の家へ来たのは亥刻(午後八時)少し過ぎ、食わず飲まずで見張っていてひどく疲れております。

「親分は?」

「まだ戻りませんよ。入って待っていて下さいな、八さん」

お静の蟠りない調子に、八五郎はいつものようにヌッと入って長火鉢の前に頬杖を突きました。

「どこへ廻ったろうなア」

「お支度は、八さん」

お静はそれに構わず、腹の減っているらしい八五郎の顔を、少し遠くから鑑定しております。

「親分が帰ってから御馳走になりましょう」

ガラッ八にもやはり遠慮はあったのです。