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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

銭形平次捕物控

一

一

深川の材木問屋春木屋の主人治兵衛が、死んだ女房の追善に、檀那寺なる谷中の清養寺の本堂を修理し、その費用三千両を釣台に載せて、木場から谷中まで送ることになりました。

三千両の小判は三つの千両箱に詰められ、主人治兵衛の手で封印を施し、番頭の源助と鳶頭の辰蔵が宰領で、手代りの人足ども総勢六人、柳橋に掛ったのはちょうど昼時分でした。

「悪い雲が出て来たね、鳶頭、この辺で夕立に降り込められるより、一と思いに伸しちゃどうだろう」

番頭の源助はそう言いながら、額の汗を拭き拭き、お通の水茶屋の前に立ちました。

「この空模様じゃ筋違までも保ちませんぜ。お通は仕度をしているはずですから、ともかく晴らしてから出かけましょう」

辰蔵は釣台を担いだ人足を顎で招くように、お通の茶屋の暖簾をかき上げました。

同時に、ピカリ、と凄まじい稲光り、灰色に沈んだ町の家並が、カッと明るくなると、乾ききった雷鳴が、ガラガラガラッと頭の上を渡ります。

「あれッ」

界隈で評判の美しいお通は、――いらっしゃい――と言う代りに、思わず悲鳴をあげてしまいました。赤前垂、片襷、お盆を眼庇に、怯え切った眼の初々しさも十九より上ではないでしょう。