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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

銭形平次捕物控

一

一

「親分、美い新造が是非逢わしてくれって、来ましたぜ」

とガラッ八の八五郎、薄寒い縁にしゃがんで、柄にもなく、お月様の出などを眺めている銭形の平次に声を掛けました。

平次はこの時三十になったばかり、江戸中に響いた捕物の名人ですが、女の一人客が訪ねて来るのは、少し擽ったくみえるような好い男でもあったのです。

「なんて顔をするんだ。――どなただか、名前を訊いたか」

「それが言わねえ」

「何?」

「親分にお目にかかって申上げますって、――滅法美い女だぜ、親分」

「女が美くったって、名前もおっしゃらない方にお目にかかるわけには参りません、と言って断って来い」

平次は少し中っ腹だったでしょう。名前も言わない美い女と聞くと、妙に頑固なことを言って、ガラッ八を追っ払おうとしました。

「悪者に追っかけられたとか言って、蒼い顔をしていますよ、親分――」

「馬鹿ッ、何だって冒頭っからそう言わないんだ」

平次はガラッ八を掻き退けるように、入口へ飛出して見ました。格子戸の中、灯から遠い土間に立ったのは、二十三――四の年増、ガラッ八が言うほどの美い縹緻ではありませんが、身形も顔もよく整った、確り者らしい奉公人風の女です。