Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

「八兄哥」

後ろから、肩を叩いたのは、三輪の万七。

「何ですえ、親分」

「気が付かないか」

「ヘエ――?」

「それならいい、後で縄張がどうの、石原がこうのって文句は言わないだろうな?」

妙に絡んだ物の言い廻しです。

「下手人の目星でも付きましたか」

「そうだよ。八兄哥、後学のために話そう、あれを見るがいい」

万七の指したのは、お勝手の外を掃いている、与次郎の箒を持つ手です。

「…………」

「あの箒を持つ手が、恐ろしく不自由なのに気が付かないかい」

「そう言えばそうかも知れませんネ」

「そうかも――じゃないよ、あの与次郎という男は確かに左利きだ」

「えッ」

「先刻、下手人は左利きだ――って俺が口を滑らしたのを小耳に挟んで、疑われたくないばかりに、不自由な思いをして右利きのような顔をして、俺達から見えるところで雪を掃いてるんだ。イヤな細工じゃないか」

「なるほど」

万七に注意されて、そっと与次郎の方へ目を走らせると、箒を持ったのは右手には相違ありませんが、なるほど不自由そうで、その作為のあとが、一と目でわかります。

「主人に聞くと、あの野郎、たしかに左利きだという事だ。ね、八兄哥、御用聞はこういう細かいところへ眼が届かなくちゃ物にならねえよ」