Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

八

「八、物干竿を一本借りて鳶口を結えて来い」

「ヘエ――」

持って来た二間竿。

先に鳶口を付けて、川面の雪と雑物とを掻き廻して行くと、間もなく妙なものが引っ掛りました。

「おやッ」

引上げてみると、少し碧血に染んだ白無垢。紐で縛ってありますが、ほどくと、まぎれもない上質の白縮緬で、白羽二重帯まで添えてあるのです。

「おやッ、これはお葬いで着るのとは違うぜ」

と万七。

「吉原で、花魁が八朔に着る白無垢だよ。三輪の、お狐様じゃないようだね」

平次はそう言って、考え深く水漬りの白無垢をひろげました。

八

白無垢は出ましたが、下手人はそれっきりわかりません。娘を乗せて来たという駕籠屋まで引っ張り出して、来た道を逆に、稲荷の社まで探して行きましたが、その辺には、佐吉の烏金を借りて、ひどい目に逢わされている家は、門並の有様ですから、どこの娘をしょっ引いていいのか、縛ることを好きな万七も、手の下しようがなかったのです。

佐吉のために、身を売った娘もあろうし、女衒の真似をしている時、さんざん人も泣かせたはずですから、怨みを買った覚えは算え切れないほどあるでしょうが、しかし、八朔の白無垢を着て、雪の夜に吉原から忍んで殺しに来るほどの大胆な花魁があろうとは想像も出来ないことです。