Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme
老巡礼の話は最初から涙で濡れました。その筋を掻いつまんで言うと――。
老爺の名は百松、生れは川越在、今でもそこには、親類預けになったままの家も屋敷も、田も畑もあるのですが、東国西国の霊場を廻って七年目で漸く江戸まで辿り着いたというのです。
「娘のお染が二つのとき先妻に死に別れ、後添いのお楽という女房を貰いました。これは、才覚も容貌も十人並に優れていながら、まことに心掛けの悪い女で、自分の腹に生れたお七という娘可愛さに、継娘のお染を、隣土地の悪者で、『贓品買い』を片手間にしている音次郎という者に十両の金をつけてやり、私の前や世間体を、神隠しに逢ったということにしていたのでございます」
「…………」
「当座は歎きも悲しみもしましたが、私もまだ老い朽ちた年でもなく、二番目娘のお七の成長を見ているうちに、お染のことを忘れるともなく年が経ちましたが、七年前、お七が疱瘡で死んでからは、私の心持は、また、三つの歳行方知れずになったお染のことで一パイになり、その日その日の仕事にも身が入らない有様になりました」
「…………」
「その頃は女房のお楽も心が挫け、その上巫女の口寄せで、お染の生霊の祟りで、お七が死んだと聞いては身も世もございません。