Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme
「朝夕二度のお経を上げないと、どうも私は気が済まないのでな。――ところで、御用は? 親分」
まだ四十そこそこでしょう。蒼白くて品の良い正兵衛は、女中どもに何やら言い付けながら、思い出したように、こう言うのでした。
「何でもありゃしません。――あの晩、川越屋へ旦那がいらしったのは、ありゃ何刻でした」
「えッ」
平次の言葉は自信に満ちております。相手は諸大名の御金用達、苗字帯刀も許されている佐野屋正兵衛ですから、岡っ引の平次は対等の口をきけるわけもなかったのですが、相手の調子に少しの躊躇があると、職業的な平次の攻撃がヒタヒタとその弱点に付け入るのです。
「旦那、隠しちゃいけません。あの死骸を吊った縄の結び目は、羽織や足袋の紐より外に、物を結んだことのない人間の仕業だし、床に転がった仏像の下に、何があったと思います」
「…………」
正兵衛はサッと蒼くなると、しきりに自分の腰のあたりを捜し始めました。
「佐野屋さん、外には子分が二三十人、手ぐすね引いてあっしの合図を待っていますよ。踏込んで家捜しすれば、川越屋の音次郎が、諸方の寺々から盗み出した、宝物の三つや四つは、この屋敷から出るはず、免れっこはありませんよ、旦那」