Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme
とお染、お盆のような顔を緊張させて、果し眼で詰め寄るのを見ると、義理にも幽霊がないなどとは言われそうもありません。
「あるとも言い、ないとも言うが、私は見たことがないから何とも言えませんよ」
藍微塵の袷を、膝が破れそうに坐って、この時代では何よりの贅沢とされた銀の吸口のチョッピリ付いた煙管で煙草盆を引寄せる平次は、若くて好い男ながら、何となく捕物の名人らしい貫禄が備わっております。
「そのお化けが出るんですよ、親分」
「どこへ?」
「お嬢様と坊っちゃまがいらっしゃる、根岸の寮に」
「ヘエ――少し詳しく話してみなさるがいい。岩見重太郎のように、乗込んで退治というわけにはいかないが、事と次第によっちゃ、お化けを縛るのも洒落ているだろう」
「親分、冗談や、拵え事じゃございません。これは、現に、私もお嬢様も見た話で、そのために坊っちゃまは、熱を出したり、引付けたりする騒ぎですよ」
お染は自分の雄弁を試みる機会を狙っていたように、勢い込んで話し始めました。
本町三丁目の糸物問屋、近江屋というのはその頃の万両分限の一人ですが、二三年前に主人が亡くなり、続いて一年ばかり前に、母親が死んで、今は、主人の弟、友二郎が支配人として、店の方一切を取り仕切り、娘のお雛と、その弟で四つになったばかりの富太郎に、女中のお染と下男の六兵衛を付け