Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme
懐紙を掛けた、赤い箱枕、八五郎には馴れない代物ですが、娘の髪の匂いが沁みて、独り者の八五郎には、これも妙に悩ましい代物です。
しばらく経ちました。いつともなくウトウトしていたらしい八五郎は、コトリという音に眼を覚したのです。何とも言えない不気味さが、部屋の中一パイに漲って、頭の上へ何やらノシかかって来るような心持がします。
ひょいと見ると、いつ、どうして開いたか、先刻まで厳重に掛金をおろしていた仏壇の戸が、八文字に開いて、行灯の灯を映した、金色の仏具の中に、何やら、不気味な青い物――。
八五郎はゾッとして枕を欹てました。紛れもありません。仏壇の中、位牌の前に現われたのは、青黒い地に紅隈を取って、金色の眼を光らせた、鬼女の顔なのです。
「怖い、怖いよう」
不意に眼を覚した富太郎は絶え入るように泣き叫んで、側に寝ているはずの姉の懐へ飛込もうとしましたが、それが、思いもよらぬ大男――しかも、あまり人相のよくない八五郎と見ると、二度目の驚きに、
「あッ」
そのまま引付けてしまったのです。
「しまった」
八五郎は飛起きて子供を抱き上げましたが、眼を白黒にして、手足をヒクヒクさせるだけで、どうにもなりません。