Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme
その後、天草で習ったオランダ風の錺を応用して、精巧な鈴を作ることを工夫し、芳村道斎と名乗って江戸中の好事家の人気を集めましたが、名人業であまりお宝にはならず、年中貧乏を看板に、女房一人、娘一人を養って事足れりとしておりました。
女房お綾が死んだ後は、その唯一の形見の金簪を鋳込んで大きい鈴を作り、自分の仕事部屋に掛けて、朝夕清澄な音を楽しんでおりましたが、ある夜賊が入って、芳村道斎を斬った上、あらゆる鈴を盗んで行ってしまいました。
翌る日まで生きていた道斎は重い手傷にも屈せず「敵は河井龍之介、敵は河井龍之介」と言い続けて命を落しました。
河井龍之介というのは、日ごろ父道斎と懇意にしていたこれも西国の浪人者で、たぶん父道斎が、島原の残党七人の連絡係をつとめ、その所名前を書いているのを知って、奪い取ろうとしたのでしょう。島原の残党七人の所名前が判れば、強請っても訴人しても相当の金になったのです。
一人残された娘のお米は、悪者の手に掛って吉原に身を沈め、生来の美しさと賢さで、一時は全盛を謳われましたが、縁あって大川屋孫三郎に落籍され、今は何不自由なく暮しているものの、どういうものか身体が楽になるとかえって気が弱って、昔父道斎の作った美しい鈴の音が忘れられません。