Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

「ヘエ――」

「昨夜の様子と、今の様子と、少しも変りはないか」

「ありません。昨夜の通りですよ、扉は締っているし、掛金はかかっているし――あッ」

八五郎が驚いたのも無理はありません。厳重に掛けられたはずの掛金が、誰も手を加えないのに、独りで上へ吊り上げられて、カチャリと外れると、仏壇の扉は、中から押されるように、サッと八文字に開いたのです。

「どうだ、八、この通りだったろう」

「え、どうしてこんな事が、親分」

「後で話す。あッ、その爺を逃がすなッ」

形勢不穏と見て、その場から逃げ出そうとする六兵衛、早くもその後から平次の手が延びて、仏壇の前で雁字がらめにされてしまいました。

「八ッ、もう一人、あの手代を捉まえろ、重三とかいった」

「よしッ」

八五郎は横っ飛びに飛出しましたが、間もなく裏の方から、

「親分、大変、親分」

とわめき立てます。六兵衛を引っ立てて、飛んで行ってみると、お雛を小脇に抱えた手代の重三、女のような優男に似気なく八五郎を大地に叩き付けて、起き上がろうとするのへ匕首が――。

危機一髪のところへ、平次得意の投げ銭が飛びました。二の腕の関節を永楽銭に打たれて、思わず匕首を取落したところへ、飛込んだ平次、好い塩梅に飛んで来てくれたお染の加勢で、この兇暴な手代もキリキリと縛り上げてしまったのです。