Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme
「こぼすなよ、八」
銭形の平次と八五郎は、こんな事を言いながら、根岸の奥の寮を引揚げました。
入谷まで来ると、何を考えたか、平次は卒然として往来に立ち停ります。
「八ッ、手前あの浪人者は手習師匠じゃねえと言ったっけな」
「何ですって?」
「あの騒ぎのあった朝、広徳寺前で逢って、お前が跟けて行った武家だよ」
「へ、へッ、千慮の一失って講釈師は言いますぜ、あの時ばかりは親分の鑑識も曇ったね」
「つまらねえ事を言うな――こうっと、あの浪人者が手習師匠でないとすると、あの袖の赤いのは朱じゃなくて紅殻だ」
「ヘエ――」
「徳蔵稲荷の木連格子は、紅殻を塗ったばかりだって、和泉屋の亭主は言ったね、――あの拝殿の鈴を毟り取るのは、賽銭箱の上に登らなきゃならねえが、足元が悪いから、鈴を取るとグラリと行く、塗り立ての木連格子に、袖や袂ぐらいは強く触るだろうじゃないか」
「なある――」
「それに、大川屋の御新造は、父親を殺した河井龍之介というのは、生きていれば五十を越したはずで青髯の凄まじい、ちょっと怖い顔をした男だと言った」
「ヘエ――?」
「さア、来い、ガラッ八、手前にとっちゃ怪我の功名だ。