Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme
「旦那、放っておいて下さい。こうでもしなきゃア、素直に口を開く女じゃありません。――野郎、黙って見ていずに、塩でも持って来い」
利助は、振り返ってもう一人の子分にそんな事を言います。
ちょうどそこへ、ガラッ八と清次郎が飛込んで来ました。
「平次親分は後から参りますが、その前に女の髪を解いて頭の地を見て下さいって言いましたよ、頭の地に何にもなきゃア、ただの女だが、何か曰くがありゃ大事な女だと言いましたよ」
とガラッ八、自分の親分は予言者のように心得ているだけに、こう言う声も何となく誇らしく響きます。
「よしッ」
利助は案外素直に答えて、女の乱れかかった髪の中から、元結を探しました。子分に鋏を持って来さして、嫌がるのを無理に切ると、丈なす黒髪が、サッと手に絡んで水のごとく後ろに引きます。
「えッ、ジタバタしたってどうにもなる場合じゃねえ、静かにしろ」
女の頭を膝の間に挟むように、乱れ髪を掻き分けて、蝋燭の火を近づけた利助、何を探し当てたか、
「あッ」
とたじろぎました。とたんに、蝋燭が斜めになって、蝋涙がタラタラと女の頬へ。
女は熱いとも言わず、凄婉な瞳を挙げて、世にも怨めしそうに、利助の顔を見上げました。