Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme
「お珊、久し振りだなア」
少し脂下がりに銀煙管を噛んで、妙に含蓄の多い微笑を送ります。
「あッ、お前は亥太――」
驚くお珊、こう言ったつもりですが、猿轡を噛まされておりますから、もとより声は出ません。恐ろしい苦痛を忍んで、わずかに負けじ魂の眼を光らせます。
「ウ、フ、思い出したか、どうだお珊、お前と俺との間には、まだ済まない勘定があるはずだ。今晩は一と思いにそれを決めようと思って伴れて来たんだ。猿轡を噛ませちゃ気の毒だが、大きい声を出されると厄介だ。少しの間我慢をしてくれい。何? お前は怒っているのか、――ハ、ハッハッ、猿轡が気に入らないんだろう、よしよし解いてやる、その代り、間違っても大きい声を出すと、一と思いに芋刺しだよ」
亥太郎はそう言いながら、立ち上がってお珊の猿轡を解きました。もっとも、同時に脇差を一本、縛られたままのお珊の膝の前へ置くことを忘れるような男ではありません。
「さア、これでよかろう。とにかく、あの八丁堀の組屋敷からお前を助けて来たんだ。俺はお前のためには恩人だ、少しは素直に言うことを聞いてくれるだろうな」
周囲には誰もいません。