Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme
三
途中でヘマをして、曲者に覚られるようなことをするな」
「大丈夫ですよ、親分。このお月様だ、相手の女が、五六町離れて行ったって匂いでも解りまさア」
「いやな野郎だな」
「へッ、へッ」
ガラッ八は草履を突っかけると、それでもそそくさとお町の後を追いました。明神様の方へ――。
三
「親分、た、大変」
「何が大変なんだ、騒々しい」
飛んで来たガラッ八。格子戸へ一ぺん鉢合せをしてハネ返されて、それからまた開けて、バアと顔を出しました。
「落着いていちゃいけねえ、すぐ来て下さい」
「どうしたんだよ」
朱塗の手筐は、早くも仕舞い込んだ平次、十手を懐へネジ込むと、裾をつまんで、サッと外へ出ます。まことに慣れた手順で、一分一厘の隙もありません。
「あの女が殺されたんだ」
「何?」
「明神様の裏の闇へ入ると、妙な物音がしたっきり、一向出る様子はねえ。駆け付けてみると、喉笛を切られて、血だらけになってブッ倒れているだろうじゃないか」
「箱は?」
「奪られてしまったらしいよ、親分」
「曲者は?」
「まるで見当が付かねえ。二三十間遅れて行ったあっしが、駆け付けると右の通りだ。逃げる間も何にもねえはずだが、犬っころ一匹飛出さないから不思議だろう」