Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme
「乾物屋のお柳」
ガラッ八は続けます。
「うむ、これはいい」
「もう一人、棟梁のところのお留坊などはどんなもので――」
ガラッ八は言い切ってしまって、他人事のようにニヤニヤしております。
「町内の三人娘へ、門並眼をつけるのは慾が深すぎるぜ、――三人とも手前が言い交したわけじゃあるめえ」
「言い交しましたよ、親分」
「何だと?」
「独り言でね、へッ、へッ」
「この野郎」
どうも手の付けようがありません。
「だから放っておいて下さい、どうせこちらの思うようにはなりゃしません」
投げたことを言う八五郎の言葉には、何がなし暗い諦めがありました。
「ね、お前さん、八五郎さんの本当に好きなのは、三人のうちでも、乾物屋のお柳さんですよ」
お静は火鉢の鉄瓶にさわるような恰好をして、そっと平次の耳に囁くのでした。
「そうかい、――だが、あの娘には、縫箔屋の丹次が付いているてえじゃないか」
「え、それからもう一人、有馬屋の番頭――菊石の又六が――」
「娘一人に婿三人はうるさいな、こいつはあきらめた方が無事かも知れないぜ、八」
平次も妙に深入りした話を引戻し兼ねて、淡い悔いに似たようなものを感じた様子です。