Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme
三
「ハテ――」
銭形平次ほどの者も、思案に余って双腕を拱きました。
そのうちに、徳蔵稲荷の前は野次馬で一パイ。
「仁三郎が殺されたとよ」
「あんな仏様みてえな人間を殺す奴は、どんな野郎だろう」
「それに玉垣まで血で穢してよ、罰の当った畜生じゃないか、お稲荷様だって黙っちゃいなさるめえ」
こんな噂を平次はジッと聴いておりました。この事件には、余程深い奥がありそうです。やがて平次は、門前の土産物屋へ行っていろいろ尋ねてみましたが、朝詣りの客は土産物などに眼をくれないので、ツイ今しがた表戸を開けたばかり、何にも知らないという心細い有様です。
「十八九の美しい新造が、この禁呪のお狐を買って行かなかったかえ」
「ヘエ、そんな事もありましたでしょうが、なにぶん毎日二三十ずつ売れるお狐様ですから、はっきり覚えちゃいません。場所柄で芸妓衆や水茶屋の姐さん方がよくお買いになりますよ」
土産物屋のお神さんの記憶ははなはだ心細いものです。
三
「ちょいと、お兄イさん」
不意に、本当に不意に娘は立ち止まりました。お屋敷風とも町家風ともつかぬ、十八九の賢そうな瓜実顔、どこかお侠なところはありますが、育ちは良いらしく、相応に美しくも可愛らしくもあるうちに何となく品があります。