Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

又六は仰天しました。が、介抱するまでもなく、お柳はこと切れて、最早どうすることも出来ず、フト気が付くと、足下に血の染んだまま投げられたのは、自分の秘蔵の匕首と、その鞘です。

誰が一体有馬屋の納戸から匕首を持出して、お柳を殺したか、そんな事を考える暇もありません。それを見ると又六は、ぞっと臆病風に誘われて、お柳を殺して死ぬ気だったことなどはけろりと忘れてしまい、自分の匕首を拾って、その代りに吉五郎の道具箱から持って来た小刀を血潮の中に抛り出し、後をも見ずに逃げ帰ったというのです。

「お留さんに訊けば解ります、刃物を替えたのは私ですが、お柳を殺したのは私じゃございません。親分、これは少しの飾りもない、正直真っ当のことでございます」

そう言う又六の言葉には、馬鹿馬鹿しさと正直さはありますが、嘘も駆引もあろうとは思われません。

「血染の匕首なんか、何だって隠しておいたんだ」

平次はもうそんな事より外に訊くこともなかったのです。

「御殿奉公した母親の形見で、これは捨てたくなかったのです。鞘と柄は、あんまり血に汚れたので神田川へ抛り込みましたが、中身だけは捨てる気になりませんでした」