Japanische Klassiker mit Furigana
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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Lesen Sie 平の将門 (たいらのまさかど) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.193 Zeichen · 463 Bildschirme
「……東国ですの」
女は、答えた。年は、十八という。――そして、睫毛の黒さや、小麦色の粗い皮膚。笑うと、虫の蝕っている味噌ッ歯の見える唇もとまでが、蝦夷萩と、そっくりである。やはり、東国の蝦夷の血をもっていたのかと、小次郎は、愛着に、燃えるような眼をして、見直した。
「じゃあ、売られて来たんだね。――東国から」
「ええ。……おっ母さんが」
「あ。そうか。おまえは、何も知らない、子どものうちにか」
名は――と、たずねると、
「草笛といいます……」と、小声だった。
小次郎は、率直に、おれも、坂東の生れだから、何だか、おまえが好きだ。また、きっと、通って来る――といったりした。
草笛も、商売のうそや、おざなりではないらしく、私も、何となく、あなたが好きです、きっと、忘れないで……と、ながし眼に、いった。
幼稚な客に出会って、彼女も、幼稚な娘のときめきを、真実、共に持ったものかもしれない。恋は、幼稚なほど、当人たちには、楽しい筈である。
あたりの、明るくなるにつれ、ちらほら、舟もうごき、人影も見えだして来た。二人は、もとの宿の方へ、帰りかけて来た。
すると、一軒の水亭から、やはり一人の遊女に送られて、舟に乗りかけている都人らしい客があった。