Japanische Klassiker mit Furigana
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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Lesen Sie 平の将門 (たいらのまさかど) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.193 Zeichen · 463 Bildschirme
「滝口の下ぐらいになって、出世したなどと、安んじていてどうするか。――眼にも、見ないか」
純友は、爪まで赤い手で、彼方なる平安の都を、指さした。
「――あの屋根の下に、どれ程な人間が、きょうを、楽しく、暮しているか。おおむねは、栄花の大樹の下草か、石にひしがれている雑草だ。氏の長者といい、一門の誰彼といい、藤原氏だけが、有ることを知って、無数の飢えを、地に見ようともしない。そして朝廷までを、内部から蝕っている。おどろくべき、存在だ。それを、ふしぎともしていない、この春日のうららかな昼霞に、おぬしは、血も、涙も、わいて来ないか」
「おれには、政治向きのことは、分らないが、毎年の疫痢や洪水でも、都の窮民は、みじめなものだ。――その出水の水が引かないうちに、もう公卿たちの館では、管絃の音が、聞かれ出すのに」
「いや、天災は、まだしも。人災を坐視している法はない。匡すべしだ。おれは、匡してやろうと思う」
「でも、おれたち、身分のない者が、どう思っても、初まらないじゃないか」
「見てい給え、こんど、伊予へ帰ったら、おれは必ず、何かやる。――小次郎、ここ数年のうちに、南海に変ありと聞いたら、そこに、藤原純友ありと、思ってくれ。