Japanische Klassiker mit Furigana
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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Lesen Sie 平の将門 (たいらのまさかど) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.193 Zeichen · 463 Bildschirme
――冬の、崖氷柱の下に、ここへ墜ちて死んだ蝦夷萩のことが、はっきり、少年の日の思い出の一齣として、うかんでくる。忘れ得ない彼女の唇の熱さも想う。小次郎は、ぼんやりしていた。
「兄上。ここにおいででしたか。まだ、お眠りかと思っていました」
「おう、三郎か。よく寝たよ、ゆうべは。――ほかの、弟たちは、どうした?」
「今朝、早立ちして。――四郎は、石田の館の大叔父の許へ。五郎も、六郎も、ほかの叔父御の郷へ、それぞれ、手分けして、兄者人のお帰宅を、知らせに、旅立ちました」
「なんだ。放ッておけばいいに」
小次郎は、無意識にも、いやな顔いろが、出てしまった。
「おれの帰る日が、どうして、先に、分っていたのか」
「その叔父御たちから、報らせがありました」
「うウむ……。じゃあ、おれが都を立つと、追っかけに、貞盛から親の国香へ、早文でも、出していたかな?」
「何か、知りませんが、日を報らせて来ました。そして、小次郎が戻ったら、すぐその旨を、届けに来いと、いいつけられていましたので」
「なに。届けろと。……まるで官庁みたいだな。近頃、叔父共は、ここへ見えるのか」
「ええ。大叔父は、余り参りませんが、良兼様と、良正様とは、こもごもに、よく来ます」